舞台「やがて君になる」 感想

 

 

本記事は5/3~5/12に上演された『舞台「やがて君になる」』の感想記事です。

舞台や原作、アニメのネタバレや個人的な感想にまみれた備忘録なので苦手な方はブラウザバックでお願いします。

あと本記事は完全に自己満足の産物なので感想とは程遠い自分語りも含まれております。感想だけ見たい方は小見出し『舞台「やが君」の良かった点』だけ見て下さい。

 

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〇作品としての「やがて君になる」についての自分語り

僕が「やがて君になる(以下、やが君)」を知ったのはアニメ化がきっかけでした。

アニメを観ていた時から毎週のように感情になっていた作品で、当時も百合オタク特有の考察に耽っていた覚えがあります。

アニメはもの凄く中途半端で調度いい(?)ところで終わってしまっていて、アニメが最終回を迎えた後も「生徒会劇は~~~!!??」と叫んでいました。

しかし弱いオタクであるが故に肝心の原作の方は買っておらず、舞台のチケットを予約してから漫画を買い揃えました。(ちなみに小説のスピンオフは買っていた、佐伯沙弥香たむがすこなので。)

しかし僕はめんどくさいオタク故に「原作を読まずに舞台観た方が逆に良いんじゃね!?」と原作未読のまま舞台を観ることにしてしまいました。

これまでに10回程度舞台観劇をしましたがどれも作品の前情報を入れずに観ていたし「逆に前知識入れ過ぎない方が良くない?」的なスタンスが根についてるんだと思います。逆に言えば舞台は前情報が全くなくても楽しめるものだということでもあります。

(この原作未読、アニメ視聴済みの状態で舞台「やが君」を観れたのはある意味で正解だったと思っております。後述。)

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〇舞台「やが君」について

会場は全労済ホール スペース・ゼロで、定員500人以上の会場でした。今までに行ってたのは六〇会とかシアターkas〇aiとか定員100人以下~250人くらいのところだったので、そういった会場との迫力の差を感じながらも調度良く観れるし、椅子もしっかりしてて上演中座っててもお尻が痛くならなかったこともあってかなり良い会場だな~と思いました。

ちなみに僕は6列目のドセンより1つ左下手側席で観劇出来ました。舞台はライブとは違ってステージに近ければ近い程良いという訳では無いと思っているのですが、演者の皆さんの表情まで見えるという点ではかなり良い席だったと思います。

 

小糸侑を演じるのはアイドルから舞台女優までマルチに活動するタレント河内美里さん。初めまして。

七海燈子役はレヴュースタァライトのばななちゃんでお馴染みの小泉萌香さん。

そして僕の好きな佐伯沙弥香たむを演じられたのはシャニマスで一気に人気声優になった礒部花凜さん(可愛い)(好き)。年始に行ったプリキュアライブで初めて見て一瞬で好きになってしまった声優さんです。

好きなキャラを好きな声優さんが演じるのは最高。

 

上演時間は2時間。

基本的には原作(漫画)と内容は同じで大きな改変はありませんでした。序盤で侑を生徒会に誘う先生が担任じゃなくて箱崎先生になってたりとキャストを減らす目的での改変(?)は少しありましたけど内容には支障の出ない範疇。

終わり方がどうだったかと言うと、文化祭で生徒会劇を上演し、侑が七海先輩に「自分からキスをし」、告白して終劇という原作の一部分を切り取った形のハッピーエンドでした。(原作はそこからがキツい)

体育祭のリレーが無かったり水族館デートが無かったりと原作のシーンがカットされていながらも重要な会話は舞台でも採用されており、2時間に原作6巻分を上手に丁寧に詰め込んだ形でした。原作愛をひしひしと感じる。

(今思えば体育祭のシーンが全カットだったので、「侑が自分から七海先輩にキスをしていないこと」に対して、原作のように「七海先輩に気付かされる」のではなく「侑が自ら気付く」という形になっていたような気がする。備忘録なのにもう大事なことが記憶から抜け落ちてる……。)

 

プロジェクションマッピングのような投影での表現や後方の幕に文字を映し出す表現があったりと「2.5次元舞台」的な演出も多くありました。過度な透過スクリーンへの投影とかは無くてあくまでも自然な表現の範疇でした。上演中も静かなシーンが多くて派手な演出は殆ど無かったですね。しっぽりと観劇することが出来て非常に良い空間でした。

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〇舞台「やが君」の良かった点

最初から最後まで抜け目なく良かった舞台だったので良かった点を挙げるとキリがないのですが、その中でも特に僕の心に刺さった場面についていくつか紹介できればと思います。

 

・七海燈子役の小泉萌香さんの演技

これは声優さんにとっては失礼な言い方なのかもしれないけど、小泉萌香さんの演技は、そこに大場ななの面影は無く、まさに"七海燈子"でした。

最初の数行の台詞を口にしただけで「"七海燈子"が目の前にいる」という感覚に陥りました。

七海先輩が現実世界にいたらこんな声で、こんな喋り方で、こんな立ち方で、こんな歩き方になるのだろうと感じる程、"七海燈子"でした。

レヴュースタァライトのオタクはスタァライト声優さんの「スタァライト以外の作品」の舞台を観劇すると彼女らの凄さがより一層強く感じられると思います。

この前の舞台「プロジェクト東京ドールズ」に出演された富田麻帆さんも立ち姿だけで他の舞台俳優さんとの違いが分かるレベルで凄かったですよ。

 

・OPの演出

舞台「やが君」は原作とアニメとの両方にリスペクトが強くて、上演開始直後の七海先輩の「君のこと、好きになりそう」という台詞で暗転し、安月名莉子さんの「君にふれて」(アニメのOP)が流れるという演出がありました。アニメで例えるとそれまでがアバンということになるんですかね、めちゃくちゃ良いアバンだ……。

暗転中はプロジェクターによる星空のような光の演出(恐らく七海先輩が侑に渡したプラネタリウムを意識されてのことかと)があり、登場人物/演者の名前が映し出されるといういかにもアニメの舞台化的な演出。

サビで河内美里さんと小泉萌香さんが登場されたのですが、「偶然触れたその指を 今握ったんだ」という歌詞に合わせて2人が手を繋いでいて(繋ぎ方がえっちだった)鳥肌でした。オタクはそういう分かりやすい表現に弱いのである。

それに続く「強がりも弱さも全部 包んであげるよ」の歌詞では、「強がり」では侑、「弱さ」では七海先輩にピンスポが当たり、「やが君」でのそれぞれの立ち位置を表した歌詞だなと改めて思いました。

ちなみにアンコールで演者の皆さんが数人ずつ登壇されたのですが、その時もサビで主演の2人が登壇され、同じようにこの歌詞で指を絡められていて、月並みですが「尊い…」になってしまいました。アンコールでもしっかりと登壇のタイミングが考えられていることが分かって勉強になりました。

 

・沙弥香の表情

上演開始間もない、七海先輩が生徒会選挙で推薦責任者に侑を指名するシーン。

台詞のある侑や七海先輩だけではなく台詞の無い沙弥香にもスポットライトが当てられており、礒部花凜さんが無言で「動揺し、侑に嫉妬をしながらも、それを悟られまいとする佐伯沙弥香の姿」を完璧に演じられていて、この1シーンだけで「この舞台を観に来て良かった」と思えました。

この舞台で個人的に一番の推しポイントはここです。本当に観たかったものを観ることができたと感じました。

 

・川で侑と七海先輩がお互いの思いをぶつけるシーン

侑の「七海先輩はお姉さんの代わりとして生きるのではなくそのままでいい」という言葉に対する七海先輩の「死んでも言われたくない」と言う台詞で2人はそれぞれ舞台袖に散る。それからは2人が向かい合ってお互いの本音を喋る毎に一歩ずつ歩み寄るというシーンだったのですがそれが凄く刺さる。まるで心の距離が縮まっていくような印象でした。

侑の「私はどっちの先輩のことも好きになれない」「これまでも、これからも」「先輩のこと、好きにならないよ」という台詞。

七海先輩が「私以外の人を好きにならないで」「私のことを嫌いにならないで」「手を繋いで帰っていい?」という台詞。

それぞれが自分の思いの丈を半ば強引に伝える時は3歩進むという演技に小糸侑、七海燈子という人間を見ました。

ここはアニメ第6話でも屈指の名シーンだったと思うのですが、舞台で観るとまた見え方が違ってくるという印象でした。

アニメでは表情は描かずに足元を描くことで2人の距離の詰め方にフィーチャーしていたけど舞台だと間合いの詰め方に加えて表情も見えるので2人の気持ちがよりストレートに伝わってくる。オタクは直球ストレートに弱い。よって漏れは泣いた。

 

・生徒会劇「君しか知らない」

原作未読のまま舞台を観劇したので、生徒会劇の結末を観たのは初めてでした。

いや、七海先輩の現状を忠実に表しててこよみ凄すぎるでしょ。叶こよみという人間が凄すぎる。

生徒会劇の内容はというと…劇場で見てなかったら大声出しながら泣いてたと思います。よく耐えた。正直劇の内容をここでネタバレするのはあまりにも野暮なので気になる方はアニメではなく原作6巻を読もう!

 

ただ物凄くセンシティブで、その中に明るい未来が見えて……

この劇を七海先輩がどういう気持ちで演じて、侑の「全部先輩のものですよ」という言葉をどういう気持ちで受け取ったのかを考えるだけでもうヤバい。涙腺と汗腺が決壊してしまう。

こちらに思考の余地を残したまま最適解へ導いてくれる、考察オタクに優しい生徒会劇でした。

この内容の生徒会劇を原作でもなく、アニメでもなく、遠見東高校生徒会が演じた"舞台"という媒体で観ることができて良かった。

自分の中でこの『舞台「やがて君になる」』がより一層特別なものに感じることができました。

 

ちなみに僕は生徒会劇の最後の展開を変えることに賛成した沙弥香が好きすぎる。

 

・舞台千秋楽終演翌日の公式のこのツイート

千秋楽公演が幕を閉じた翌日、河内美里さんのツイートを受けて公式Twitterアカウントがこのようなツイートをしました。

多くは語りません。最高。

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〇おわりに

最後までこんな駄文を読んで頂いてすみません、ありがとうございます。

やがて君になる」は原作の漫画が現行7巻まで出ており、次巻で最終巻となります。

また、佐伯沙弥香のスピンオフ小説も2巻出ております。こっちも最the高なのでよろしくお願いします。

この記事を読んで舞台に興味を持ってもらえたらありがたいです。

舞台「やが君」はBD・DVDが後日発売されるので下記URLより予約することができます!!

トライフル エンター テインメント 公式通販

 

僕が感じた"舞台「やがて君になる」の素晴らしさ"を皆さんにも感じて欲しい。そして大声出しながら泣いて欲しい。劇場で観るのも良いけど自宅でデカ声出しながら観るのも一興だと思います!

それではお疲れ様でした!